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狂犬病の野犬が跋扈し、街中の芝生を放たれた牛が食む。
人々は路上で宴会をし、小屋のような自宅に帰る。
そんな国に行きました。
学生を卒業して丸二年が立ち、社会人三年目になりました。クソガキさんです。
おかもんから「もうガキじゃないしただのクソ野郎でしょ」との指摘がありましたが、さすがに一人称がクソ野郎さんでは少々辛いものがあるのでクソガキで通していこうと思います。
労働を始めてもう二年、当たり前ですが圧倒的に自由な時間は減りました。
その分学生時代には手に入れられなかったくらいには所得があるわけですが、ある時期を境にほとんど貯められていません。多分6時間平気で飲み歩いた挙句翌日も酒を喰らうガ/サ/ヤ/ンって人のせいだと思います。
労働は正直まるで楽しくないのですが、今回、労働開始以来初めて楽しいと思えることがありましたので旅行記を更新します。
ということでクソガキ旅行記38、今回はミャンマー編です。
仕事で一週間行ってきました。
一週間とはいえ、やっぱり仕事。
わざわざ海外出張までして行くためあまり時間はとれませんでしたが、合間を縫って得られた経験を記していきます。
▼ 行くまで
海外出張の話が出たのは1か月半ほど前のこと。
上司「クソガキ、海外出張行くかもしれんから用意だけしときや」
クソガキ「ウッス」
この時点ではクソガキさんが行くか、同じ部署の別の人間が行くかは決定していませんでした。
VISA準備で2週間はかかるようだし、その他諸々の準備も含め、常識的に考えればひと月前くらいには決まるんだろうなと勝手に思っていました。
その後、予定日まであと2週間と数日程度のある日でした。
上司「クソガキ行け」
クソガキ「は?」
その日のうちにVISA用の写真を撮りに行きました。走りました。
そんなわけでミャンマーに行くことになったクソガキさん。もちろん初めて行く国です。
「アジア最後の秘境」「未開の地」などいくつかの噂を聞いていました。街灯がない、とも。街灯がない……? 松明でも使ってんのか?
移動スケジュールは日曜出発、次の土曜に帰国便発、日曜朝7時帰国のまるまる1週間。
休日2.5日くらい潰れてたのでキレました。
そんなわけで土曜日に諸々の用意をし、日曜日に関西国際空港へ。
ちなみにVISAは出発の3日前くらいに届きました。無駄のなさすぎるスケジュールでブチギレました。
日曜日の関西国際空港。成田空港より若干人が少ないかな?
そういえば海外行くの1年ぶりくらいですね。足取り確認しつつ、難なくチェックイン&通関。
通関後は成田空港と同じく免税店が立ち並ぶ。
ここで見る免税店は帰国時には立ち寄るタイミングがありませんので冷やかしながら歩きます。途中両替カウンターがあったので日本円をUSDへ。
ミャンマー、未開の地なので日本円からミャンマーの通貨に直接両替できません。USDの、それも新札でしか両替できませんので、ここで替えておく必要があります。
ちなみにミャンマーの通貨は「チャット」と言います。だいたい1円=12チャット。1000チャット=81円。
両替をした後、なぜだか異様におなかが空いていたのでチェーンの寿司居酒屋に入り、ネギトロ丼を注文。
この時点で10時ごろ。まだなんだかおなかが空いていますが、空港のレストランはどれもあほみたいに高いためそのまま会計。
正直成田空港のほうが食事のバリエーションはあった記憶があります。
見るものもなくなったのでゲートへと向かいます。
あとは飛行機を待って乗るのみです。
今回のルートはタイを経由してのミャンマー。
関空ではゲートが別ターミナルになっており、そこへはモノレール(多分)で向かいます。
モノレールのホームは一方通行のため、元のターミナルに戻るには逆側の戻り専用のホームに着く必要があります。
逆側のホームへは帰国便の降り口からしか行くことはできない。
つまりここでゲートまで向かったら戻れないということ。
クソガキさんは乗り込み、ゲートへと向かいました。
時間は10時30分頃。やっぱりおなかが空いています。
モノレールを降りた後すぐにうどん屋らしき店を見つけましたが、やっぱり高いのでひとまずスルー。
ゲート付近まで行くと今度はファミリーマートを発見しました。
クソガキさん、悩みます。
飛行機の出発は11時45分。機内食が出る可能性は高い。
しかしもし出なかったら……? ここからタイまでの五時間、空腹との闘いになる。
5秒後にはおにぎり二個片手にレジに並んでました。
よく考えたら添乗員さんに聞けば一瞬で解決したのですが、食欲がすべての思考力を奪い去りました。
クソガキさんの一つ前に並んでいた金髪のいかつい小太り気味のおっさんはコンドームを二箱も買っていました。
タイに恋人でもいるんですかね? えっ風俗? あっ……。
ということでタイ行きの飛行機に乗り込みます。
タイ航空を使ったので添乗員もタイ人です。タイ人のあいさつ、ハガレンの錬成するときに手を合わせるあれと同じポーズなんですよね。トムヤムクンとか錬成しそう。
ちなみに当たり前みたいな顔して機内食を配られました。当たり前だよなあ。
タイまでの5時間はソリティアでぶっ飛びました。テトリスなかった……。
乗り継ぎ便の出発までは約2時間あるので、スワンナプーム国際空港のお店をふらふらします。
タイの空港、青果が売ってます。
バナナをはじめとし、ココナツ、マンゴー、パイナップル、西瓜、梨、リンゴ、etc...
実に多彩なフルーツが置かれていました。しかもココナツ以外はほとんどすべて皮すら剥いていません。パイナップルとか買ってどうするんだろうか。人でも殴るのかな。
お土産屋は免税店らしく酒類やタバコ、腕時計などを扱う店が多いです。
ローカル感のあるお店は少なかったのですが、中でも興味を惹いたのはトムヤムクンの乾燥具材? のようなものでした。
タイの料理として、そして世界三大スープとして有名(出典:wikipedia)なトムヤムクン。
口に入れると辛味とか酸味とか風味とかいろいろ混ざって良くわからん味がします。(100%主観)
そんなトムヤムクンの具材だけを取り出し、乾燥させて袋詰めしたようなものが売っていたのです。
多分お湯をかけて戻すことですぐに作れるインスタントトムヤムクンみたいなものだと思うのですが、如何せんタイ語しか書かれていなかったので詳細はわかりませんでした。
きっとスワンナプーム国際空港で一番面白いお土産はこれだと思います! 当然クソガキさんはトムヤムクンが苦手なので買いませんでした。
タイで一緒の便に乗る会社の人と合流し、いよいよミャンマーへ。
一時間半ほどの便なのですが、機内食でちょっとしたパイとワッフルが出てくる。
ネギトロ丼 + おにぎり + 機内食 + 機内食の4連コンボはさすがに効く。
その後は難なくミャンマーまでたどり着き、イミグレーションと荷物の受け取りを済ませる。
イミグレーションの手際が悪く長蛇の列が出来ていました。
▼ ミャンマー到着
荷物を受け取り、空港を出ます。
自動扉を抜けた瞬間、熱気と湿気が襲い掛かりました。
暑い! 夏の国の空気、日本で言えば沖縄の那覇空港を出た瞬間とほとんど同じものでした。
自動扉の先はミャンマー人でごった返していました。旅行者をタクシーに乗せようとみんな積極的に話しかけています。
クソガキさんのところにもタクシードライバーのお兄ちゃんがやってきました。
同行者(同じ会社の人)が「ミャンマーのタクシーは交渉で値下げできるから見とけ!」と言って交渉を始めました。
クソガキさん、わくわくしながら後をついていきます。ミャンマーの公用語はミャンマー語(ビルマ語)です。基本は日本語も英語も通じないと思って良いはず。言葉の通じない中どのように交渉をするのでしょうか。
と思っていたら10秒経たずに終わりました。え、一言も聞こえなかったんですけど……?
聞くと、ホテルの場所を知っている + 冷房もつけてくれるとのことで、最初に向こうが提示してきた9,000チャット(=720円)に対し、10,000チャット(=800円)を渡したとのことです。
おっかしーなークソガキさん義務教育受けたからわかるんだけど720円より800円のほうが高いしさっき値下げ交渉するって聞いたはずなんだけどなー。
ちなみに7,000チャット(560円)まで値下げした人もいるそうですが、努力するのが悲しくなる値下げ幅ですね。
しかも値下げしすぎると嫌がらせで冷房をつけてくれないこともあるとか。
空港からホテルまでは一時間以上かかったので、運賃は安いと思います。
ということでタクシーに乗り込むクソガキさん。
夜の19時を過ぎており、周りはどんどん暗くなっているところ。
なんか横に虹色に光る車が見えたんだがミャンマー製のDQN(死語)でも乗ってるのか……?
乗って数分、野犬が多いことに気づきます。
ミャンマーの野犬は狂犬病持ちが多いらしく、噛まれたらアウトです。気をつけろよーと脅されました。はははと笑っておきました。アメリカで大型犬に噛まれた左腿がうずきました。
車に乗って走り出すと、あることに気づきます。
車間距離が異様に短い……? かなり密集しているように見えます。
違いました。ミャンマー、車線の概念がありません。
信号待ちなどでは車線上に車が乗りだし、3車線のはずが横に4~5台の車が並ぶことも珍しくありません。
ちなみにミャンマーは過去は左側通行だったのですが、ある日右側通行に変更されたらしいです。そのせいか右ハンドルと左ハンドルの車が両方走ってるし、ルール無用かこの国は。
しばらく車を走らせていると、Y字路に差し掛かりました。
あれ、と思い目をこすります。Y字路の交差部分に円柱型の台みたいなものがせり出していたのですが、そこにミャンマー人が三人くらい座って酒を飲んでいる……?
すぐに通り過ぎて良く確認できなかったので見なかったことにしました。するとそんなクソガキさんに現実をたたきつけるかのように、その先の路上でも二人が座り込んで話し込んでいました。
ミャンマー人は路上で宴会をします。クソガキさんはまた一つどうでも良い知識を得ました。
しばらく行き、ホテルに到着しました。
夜も遅かったのでひとまずホテルで食事を済ませ、さっそく散策に行こうと外に出てみます。
熱気の中歩き出して一秒で気づきました。マジで街灯がない。
ホテルの周囲は一応建物もちゃんと並んでいて街のつくりにはなっているのですが、本当に街灯だけありません。
幸いか車通りが多いので、車のライトを頼りに歩き始めました。
まず目についたのはなにやら道に沿って作られている用水路のような川です。
付近に大きな川でもあるのでしょうか。
そのまま進んでいくと、こちらでも路上でミャンマー人が卓を囲んでいました。
といっても一応屋台のようで、七輪のようなものでおばちゃんが何か焼いていました。
さすがに初日から腹を壊すリスクは負えなかったので、いったんスルーします。
そのまま歩き続けますが、街灯がないというのはかなり不安になる状況です。
大通りは良いのですが、車が来なくなった瞬間ふっと周囲が暗闇になり、どこから何が飛び出してくるかわかりません。
野犬の吠え声が遠くで聞こえます。ベトナムで犬に追い回された記憶がよぎったあたりで引き返しました。
帰り際、七輪おばちゃんを見てみると、食器を洗った水を目の前の川に捨てていました。
……完全に"""どぶ川"""ってやつですね……。
ということで、初日の散策はわずか10分で終了。
▼ 一日目~
翌日、朝に会社の送迎車に乗り込み、郊外にある会社へ向かいます。
夜には暗くて見られなかった昨日のどぶ川を見てみました。よくわかんないけどなんかやべえ黒色をしていました。
走りだすとすぐに周囲の車が日本と違うことに気が付きました。
まずはトラック。当たり前のように荷台に人を乗せています。
それはまあ良いのですが、人をのせる前提だからか、荷台を囲むようにアーチが備え付けられています。
いや、アーチとか言ってすみません、どう見ても檻かなんかでした。完全に人身売買の輸送車かなんかです。
こんなトラックから人がはみ出そうなくらいに乗っています。バスみたいなもんですね多分。
一応普通のバスもあるのですが、見たバスすべて満員で非常に窮屈そうでした。しかも窓が開いてます。冷房ついていないみたいですね。
そしてバイク。バイクの数自体はそんなに多くないのですが、複数人乗りが普通、というか平気で3~4人乗りをしています。最早軽自動車かなんかです。
車に乗ってしばらくし、郊外に差し掛かったあたりでだんだんと風景が変わってきます。
道路に沿うように小屋が密集した場所がちらほらと出てきました。言葉は良くないのですが、漫画やアニメの世界で言うスラム街そのままの光景です。
さすがに「発展途上国」感を感じずにはいられない光景でした。
アメリカ、イギリス、シンガポールはどこも綺麗で、人の住む場所はしっかりと整備されています。
同じく発展途上国扱いのタイやベトナムも、人が住む場所はしっかりと建物です。
しかし、ミャンマーのこの村落のような家屋の集合地帯は、雨が降れば漏りそうで、大きな地震が来れば倒壊してもおかしくなさそうに思えました。
聞いた話では街灯を設置するとこのような家に住む人々の家の中に光が入り込んで眠れなくなるため設置できないとかなんとか。確かに街中には街灯がある場所はありました。
そんな道を車で走る。前にはちらほらと犬がいます。ミャンマー人は近くに犬がいても気にしていない様子。まあ変なことしない限りは噛んでこないんでしょうね。
ちなみにベトナムもそうだったのですが、横断歩道や信号はそんなにたくさんないので、歩行者はどうどうと車道を横切ります。車が来ていようがおかまいなしです。
ドライバー側もそれは理解しており、常に横から来る歩行者に気をつけています。歩行者のペースを見てスピードを落とし、渡れるようにしているのです。
もちろん歩行者はノンストップで渡れるわけではありませんので、車線上で待機している人がちらほら。この国の車線の役割って歩道かなんかなんですかね。
ベトナムやミャンマーで車道を横切る時には絶対に走りだしたり後ろに下がったり急にストップしないでください。ゆっくり一定のペースで歩くほうがはるかに安全です。
さて、これまでクソガキさんがいたのはミャンマー最大の都市、ヤンゴンです。
首都はネピドーというところですが、人口増加によりヤンゴンから首都機能が移転されました。
ヤンゴン市内を離れると急に緑が増え始めました。
もはやジャングルと言っても良いくらいに木が多いです。道路の横にはアスファルト舗装すらされていない道や森が沿っています。
聞いたところではこの国ではまだ森に入れば果実がとれて食べていけるので、真剣に働く人が少ないのだとか。いやそれって原始の採集生活じゃんかよ……。
そんな中、時々やたらにきれいな建物を目にします。彫りこまれ、金色に装飾された立派な門。その奥には金色の鐘のような形をした大きな建物が。
パゴダと呼ばれる仏教の建物です。
釈迦仏の遺骨を納めるための施設だそうです。このパゴダ、大小の差はあれどどれも非常にきれいでりっぱな造りになっていました。この金ぴかの真横にスラム街広がってるのはディストピア世界かなんかかよ……。
ちなみに特に有名なのはヤンゴン市内にあるシュエダゴン・パゴダ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%80%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%B4%E3%83%80)です。クソガキさんは時間の関係で外から眺めるに留まりましたが、非常に大きくとても見応えがありそうです。ちなみに裸足で入場する必要があります。ミャンマーの夏の気温で裸足で歩こうとすると夏は肉が焼ける音がするらしいです。ジュッ。
(写真は外から見たシュエダゴン・パゴダです)
ちなみにパゴダにはクソデカ狛犬がよく置いてあるのですが、シュエダゴン・パゴダの狛犬の後ろにはひたすら犬の尻を見続ける青鬼がいました。死ぬほどシュールなので多分マーライオンみたいなマスコットになれると思います。
車が進んでいくとだんだんガタガタと揺れるようになってきました。道路状況が悪いのです。
見てみると、中央分離帯として置かれた花壇のような場所が崩れていました。
大きな地震でもあったのかと思いましたがどうも違うようです。
ミャンマーは乾季と雨季がある国です。
6月現在は雨季。雨季と言っても四六時中降り続けているわけではないのですが、スコールのような急激な雨が降ります。
このあたりの道路は土の上にアスファルトを一枚乗っけただけの造りなので、雨が降ると道路の下の土がゆるみ、上の道路まで崩れるのです。
なお、一年に一度直されるらしいのですが毎年同じことが起こるそうです。
ボコボコの道路に感心しながら眺めていると、ふとクソガキさんの視界の端に見覚えのある四足動物が入りました。
おかしいな見間違いだよな、と思いながら前を見てみるとそこにもいました。牛です。
車がびゅんびゅん行き交う道のすぐそばを牛がふらふら歩いています。飼い主の姿はなし。
野生の牛かよと思うのですが、一応飼い主はどこかにはいるらしい。
ていうかそれただの放置ですよね、放牧と表現すると語弊が大きいですよね。野良牛みたいなもんですよね。
会社でわざわざ植えた芝生をこいつらに食い尽くされたこともあるらしい。まあ8割くらい野生動物みたいなもんだしな……。
会社までの一時間ほどでこんな感じの風景を楽しんでいました。
退勤後ローカルなスーパーに入ったのですが、入り口すぐ右手にここでも青果が置いてありました。
ドリアンが置いてあったのでやっぱりこの辺の国では人を殴るためにフルーツが使われるんだろうと思います。ドラゴンフルーツとか手榴弾ぽいし。
つづく
写真1枚目 - ホテル付近の風景
写真2枚目 - 外から眺めたシュエダゴン・パゴダ
写真3枚目 - 永遠に狛犬の尻を見続ける青鬼
人々は路上で宴会をし、小屋のような自宅に帰る。
そんな国に行きました。
学生を卒業して丸二年が立ち、社会人三年目になりました。クソガキさんです。
おかもんから「もうガキじゃないしただのクソ野郎でしょ」との指摘がありましたが、さすがに一人称がクソ野郎さんでは少々辛いものがあるのでクソガキで通していこうと思います。
労働を始めてもう二年、当たり前ですが圧倒的に自由な時間は減りました。
その分学生時代には手に入れられなかったくらいには所得があるわけですが、ある時期を境にほとんど貯められていません。多分6時間平気で飲み歩いた挙句翌日も酒を喰らうガ/サ/ヤ/ンって人のせいだと思います。
労働は正直まるで楽しくないのですが、今回、労働開始以来初めて楽しいと思えることがありましたので旅行記を更新します。
ということでクソガキ旅行記38、今回はミャンマー編です。
仕事で一週間行ってきました。
一週間とはいえ、やっぱり仕事。
わざわざ海外出張までして行くためあまり時間はとれませんでしたが、合間を縫って得られた経験を記していきます。
▼ 行くまで
海外出張の話が出たのは1か月半ほど前のこと。
上司「クソガキ、海外出張行くかもしれんから用意だけしときや」
クソガキ「ウッス」
この時点ではクソガキさんが行くか、同じ部署の別の人間が行くかは決定していませんでした。
VISA準備で2週間はかかるようだし、その他諸々の準備も含め、常識的に考えればひと月前くらいには決まるんだろうなと勝手に思っていました。
その後、予定日まであと2週間と数日程度のある日でした。
上司「クソガキ行け」
クソガキ「は?」
その日のうちにVISA用の写真を撮りに行きました。走りました。
そんなわけでミャンマーに行くことになったクソガキさん。もちろん初めて行く国です。
「アジア最後の秘境」「未開の地」などいくつかの噂を聞いていました。街灯がない、とも。街灯がない……? 松明でも使ってんのか?
移動スケジュールは日曜出発、次の土曜に帰国便発、日曜朝7時帰国のまるまる1週間。
休日2.5日くらい潰れてたのでキレました。
そんなわけで土曜日に諸々の用意をし、日曜日に関西国際空港へ。
ちなみにVISAは出発の3日前くらいに届きました。無駄のなさすぎるスケジュールでブチギレました。
日曜日の関西国際空港。成田空港より若干人が少ないかな?
そういえば海外行くの1年ぶりくらいですね。足取り確認しつつ、難なくチェックイン&通関。
通関後は成田空港と同じく免税店が立ち並ぶ。
ここで見る免税店は帰国時には立ち寄るタイミングがありませんので冷やかしながら歩きます。途中両替カウンターがあったので日本円をUSDへ。
ミャンマー、未開の地なので日本円からミャンマーの通貨に直接両替できません。USDの、それも新札でしか両替できませんので、ここで替えておく必要があります。
ちなみにミャンマーの通貨は「チャット」と言います。だいたい1円=12チャット。1000チャット=81円。
両替をした後、なぜだか異様におなかが空いていたのでチェーンの寿司居酒屋に入り、ネギトロ丼を注文。
この時点で10時ごろ。まだなんだかおなかが空いていますが、空港のレストランはどれもあほみたいに高いためそのまま会計。
正直成田空港のほうが食事のバリエーションはあった記憶があります。
見るものもなくなったのでゲートへと向かいます。
あとは飛行機を待って乗るのみです。
今回のルートはタイを経由してのミャンマー。
関空ではゲートが別ターミナルになっており、そこへはモノレール(多分)で向かいます。
モノレールのホームは一方通行のため、元のターミナルに戻るには逆側の戻り専用のホームに着く必要があります。
逆側のホームへは帰国便の降り口からしか行くことはできない。
つまりここでゲートまで向かったら戻れないということ。
クソガキさんは乗り込み、ゲートへと向かいました。
時間は10時30分頃。やっぱりおなかが空いています。
モノレールを降りた後すぐにうどん屋らしき店を見つけましたが、やっぱり高いのでひとまずスルー。
ゲート付近まで行くと今度はファミリーマートを発見しました。
クソガキさん、悩みます。
飛行機の出発は11時45分。機内食が出る可能性は高い。
しかしもし出なかったら……? ここからタイまでの五時間、空腹との闘いになる。
5秒後にはおにぎり二個片手にレジに並んでました。
よく考えたら添乗員さんに聞けば一瞬で解決したのですが、食欲がすべての思考力を奪い去りました。
クソガキさんの一つ前に並んでいた金髪のいかつい小太り気味のおっさんはコンドームを二箱も買っていました。
タイに恋人でもいるんですかね? えっ風俗? あっ……。
ということでタイ行きの飛行機に乗り込みます。
タイ航空を使ったので添乗員もタイ人です。タイ人のあいさつ、ハガレンの錬成するときに手を合わせるあれと同じポーズなんですよね。トムヤムクンとか錬成しそう。
ちなみに当たり前みたいな顔して機内食を配られました。当たり前だよなあ。
タイまでの5時間はソリティアでぶっ飛びました。テトリスなかった……。
乗り継ぎ便の出発までは約2時間あるので、スワンナプーム国際空港のお店をふらふらします。
タイの空港、青果が売ってます。
バナナをはじめとし、ココナツ、マンゴー、パイナップル、西瓜、梨、リンゴ、etc...
実に多彩なフルーツが置かれていました。しかもココナツ以外はほとんどすべて皮すら剥いていません。パイナップルとか買ってどうするんだろうか。人でも殴るのかな。
お土産屋は免税店らしく酒類やタバコ、腕時計などを扱う店が多いです。
ローカル感のあるお店は少なかったのですが、中でも興味を惹いたのはトムヤムクンの乾燥具材? のようなものでした。
タイの料理として、そして世界三大スープとして有名(出典:wikipedia)なトムヤムクン。
口に入れると辛味とか酸味とか風味とかいろいろ混ざって良くわからん味がします。(100%主観)
そんなトムヤムクンの具材だけを取り出し、乾燥させて袋詰めしたようなものが売っていたのです。
多分お湯をかけて戻すことですぐに作れるインスタントトムヤムクンみたいなものだと思うのですが、如何せんタイ語しか書かれていなかったので詳細はわかりませんでした。
きっとスワンナプーム国際空港で一番面白いお土産はこれだと思います! 当然クソガキさんはトムヤムクンが苦手なので買いませんでした。
タイで一緒の便に乗る会社の人と合流し、いよいよミャンマーへ。
一時間半ほどの便なのですが、機内食でちょっとしたパイとワッフルが出てくる。
ネギトロ丼 + おにぎり + 機内食 + 機内食の4連コンボはさすがに効く。
その後は難なくミャンマーまでたどり着き、イミグレーションと荷物の受け取りを済ませる。
イミグレーションの手際が悪く長蛇の列が出来ていました。
▼ ミャンマー到着
荷物を受け取り、空港を出ます。
自動扉を抜けた瞬間、熱気と湿気が襲い掛かりました。
暑い! 夏の国の空気、日本で言えば沖縄の那覇空港を出た瞬間とほとんど同じものでした。
自動扉の先はミャンマー人でごった返していました。旅行者をタクシーに乗せようとみんな積極的に話しかけています。
クソガキさんのところにもタクシードライバーのお兄ちゃんがやってきました。
同行者(同じ会社の人)が「ミャンマーのタクシーは交渉で値下げできるから見とけ!」と言って交渉を始めました。
クソガキさん、わくわくしながら後をついていきます。ミャンマーの公用語はミャンマー語(ビルマ語)です。基本は日本語も英語も通じないと思って良いはず。言葉の通じない中どのように交渉をするのでしょうか。
と思っていたら10秒経たずに終わりました。え、一言も聞こえなかったんですけど……?
聞くと、ホテルの場所を知っている + 冷房もつけてくれるとのことで、最初に向こうが提示してきた9,000チャット(=720円)に対し、10,000チャット(=800円)を渡したとのことです。
おっかしーなークソガキさん義務教育受けたからわかるんだけど720円より800円のほうが高いしさっき値下げ交渉するって聞いたはずなんだけどなー。
ちなみに7,000チャット(560円)まで値下げした人もいるそうですが、努力するのが悲しくなる値下げ幅ですね。
しかも値下げしすぎると嫌がらせで冷房をつけてくれないこともあるとか。
空港からホテルまでは一時間以上かかったので、運賃は安いと思います。
ということでタクシーに乗り込むクソガキさん。
夜の19時を過ぎており、周りはどんどん暗くなっているところ。
なんか横に虹色に光る車が見えたんだがミャンマー製のDQN(死語)でも乗ってるのか……?
乗って数分、野犬が多いことに気づきます。
ミャンマーの野犬は狂犬病持ちが多いらしく、噛まれたらアウトです。気をつけろよーと脅されました。はははと笑っておきました。アメリカで大型犬に噛まれた左腿がうずきました。
車に乗って走り出すと、あることに気づきます。
車間距離が異様に短い……? かなり密集しているように見えます。
違いました。ミャンマー、車線の概念がありません。
信号待ちなどでは車線上に車が乗りだし、3車線のはずが横に4~5台の車が並ぶことも珍しくありません。
ちなみにミャンマーは過去は左側通行だったのですが、ある日右側通行に変更されたらしいです。そのせいか右ハンドルと左ハンドルの車が両方走ってるし、ルール無用かこの国は。
しばらく車を走らせていると、Y字路に差し掛かりました。
あれ、と思い目をこすります。Y字路の交差部分に円柱型の台みたいなものがせり出していたのですが、そこにミャンマー人が三人くらい座って酒を飲んでいる……?
すぐに通り過ぎて良く確認できなかったので見なかったことにしました。するとそんなクソガキさんに現実をたたきつけるかのように、その先の路上でも二人が座り込んで話し込んでいました。
ミャンマー人は路上で宴会をします。クソガキさんはまた一つどうでも良い知識を得ました。
しばらく行き、ホテルに到着しました。
夜も遅かったのでひとまずホテルで食事を済ませ、さっそく散策に行こうと外に出てみます。
熱気の中歩き出して一秒で気づきました。マジで街灯がない。
ホテルの周囲は一応建物もちゃんと並んでいて街のつくりにはなっているのですが、本当に街灯だけありません。
幸いか車通りが多いので、車のライトを頼りに歩き始めました。
まず目についたのはなにやら道に沿って作られている用水路のような川です。
付近に大きな川でもあるのでしょうか。
そのまま進んでいくと、こちらでも路上でミャンマー人が卓を囲んでいました。
といっても一応屋台のようで、七輪のようなものでおばちゃんが何か焼いていました。
さすがに初日から腹を壊すリスクは負えなかったので、いったんスルーします。
そのまま歩き続けますが、街灯がないというのはかなり不安になる状況です。
大通りは良いのですが、車が来なくなった瞬間ふっと周囲が暗闇になり、どこから何が飛び出してくるかわかりません。
野犬の吠え声が遠くで聞こえます。ベトナムで犬に追い回された記憶がよぎったあたりで引き返しました。
帰り際、七輪おばちゃんを見てみると、食器を洗った水を目の前の川に捨てていました。
……完全に"""どぶ川"""ってやつですね……。
ということで、初日の散策はわずか10分で終了。
▼ 一日目~
翌日、朝に会社の送迎車に乗り込み、郊外にある会社へ向かいます。
夜には暗くて見られなかった昨日のどぶ川を見てみました。よくわかんないけどなんかやべえ黒色をしていました。
走りだすとすぐに周囲の車が日本と違うことに気が付きました。
まずはトラック。当たり前のように荷台に人を乗せています。
それはまあ良いのですが、人をのせる前提だからか、荷台を囲むようにアーチが備え付けられています。
いや、アーチとか言ってすみません、どう見ても檻かなんかでした。完全に人身売買の輸送車かなんかです。
こんなトラックから人がはみ出そうなくらいに乗っています。バスみたいなもんですね多分。
一応普通のバスもあるのですが、見たバスすべて満員で非常に窮屈そうでした。しかも窓が開いてます。冷房ついていないみたいですね。
そしてバイク。バイクの数自体はそんなに多くないのですが、複数人乗りが普通、というか平気で3~4人乗りをしています。最早軽自動車かなんかです。
車に乗ってしばらくし、郊外に差し掛かったあたりでだんだんと風景が変わってきます。
道路に沿うように小屋が密集した場所がちらほらと出てきました。言葉は良くないのですが、漫画やアニメの世界で言うスラム街そのままの光景です。
さすがに「発展途上国」感を感じずにはいられない光景でした。
アメリカ、イギリス、シンガポールはどこも綺麗で、人の住む場所はしっかりと整備されています。
同じく発展途上国扱いのタイやベトナムも、人が住む場所はしっかりと建物です。
しかし、ミャンマーのこの村落のような家屋の集合地帯は、雨が降れば漏りそうで、大きな地震が来れば倒壊してもおかしくなさそうに思えました。
聞いた話では街灯を設置するとこのような家に住む人々の家の中に光が入り込んで眠れなくなるため設置できないとかなんとか。確かに街中には街灯がある場所はありました。
そんな道を車で走る。前にはちらほらと犬がいます。ミャンマー人は近くに犬がいても気にしていない様子。まあ変なことしない限りは噛んでこないんでしょうね。
ちなみにベトナムもそうだったのですが、横断歩道や信号はそんなにたくさんないので、歩行者はどうどうと車道を横切ります。車が来ていようがおかまいなしです。
ドライバー側もそれは理解しており、常に横から来る歩行者に気をつけています。歩行者のペースを見てスピードを落とし、渡れるようにしているのです。
もちろん歩行者はノンストップで渡れるわけではありませんので、車線上で待機している人がちらほら。この国の車線の役割って歩道かなんかなんですかね。
ベトナムやミャンマーで車道を横切る時には絶対に走りだしたり後ろに下がったり急にストップしないでください。ゆっくり一定のペースで歩くほうがはるかに安全です。
さて、これまでクソガキさんがいたのはミャンマー最大の都市、ヤンゴンです。
首都はネピドーというところですが、人口増加によりヤンゴンから首都機能が移転されました。
ヤンゴン市内を離れると急に緑が増え始めました。
もはやジャングルと言っても良いくらいに木が多いです。道路の横にはアスファルト舗装すらされていない道や森が沿っています。
聞いたところではこの国ではまだ森に入れば果実がとれて食べていけるので、真剣に働く人が少ないのだとか。いやそれって原始の採集生活じゃんかよ……。
そんな中、時々やたらにきれいな建物を目にします。彫りこまれ、金色に装飾された立派な門。その奥には金色の鐘のような形をした大きな建物が。
パゴダと呼ばれる仏教の建物です。
釈迦仏の遺骨を納めるための施設だそうです。このパゴダ、大小の差はあれどどれも非常にきれいでりっぱな造りになっていました。
ちなみに特に有名なのはヤンゴン市内にあるシュエダゴン・パゴダ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%80%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%B4%E3%83%80)です。クソガキさんは時間の関係で外から眺めるに留まりましたが、非常に大きくとても見応えがありそうです。ちなみに裸足で入場する必要があります。ミャンマーの夏の気温で裸足で歩こうとすると夏は肉が焼ける音がするらしいです。ジュッ。
(写真は外から見たシュエダゴン・パゴダです)
ちなみにパゴダにはクソデカ狛犬がよく置いてあるのですが、シュエダゴン・パゴダの狛犬の後ろにはひたすら犬の尻を見続ける青鬼がいました。死ぬほどシュールなので多分マーライオンみたいなマスコットになれると思います。
車が進んでいくとだんだんガタガタと揺れるようになってきました。道路状況が悪いのです。
見てみると、中央分離帯として置かれた花壇のような場所が崩れていました。
大きな地震でもあったのかと思いましたがどうも違うようです。
ミャンマーは乾季と雨季がある国です。
6月現在は雨季。雨季と言っても四六時中降り続けているわけではないのですが、スコールのような急激な雨が降ります。
このあたりの道路は土の上にアスファルトを一枚乗っけただけの造りなので、雨が降ると道路の下の土がゆるみ、上の道路まで崩れるのです。
なお、一年に一度直されるらしいのですが毎年同じことが起こるそうです。
ボコボコの道路に感心しながら眺めていると、ふとクソガキさんの視界の端に見覚えのある四足動物が入りました。
おかしいな見間違いだよな、と思いながら前を見てみるとそこにもいました。牛です。
車がびゅんびゅん行き交う道のすぐそばを牛がふらふら歩いています。飼い主の姿はなし。
野生の牛かよと思うのですが、一応飼い主はどこかにはいるらしい。
ていうかそれただの放置ですよね、放牧と表現すると語弊が大きいですよね。野良牛みたいなもんですよね。
会社でわざわざ植えた芝生をこいつらに食い尽くされたこともあるらしい。まあ8割くらい野生動物みたいなもんだしな……。
会社までの一時間ほどでこんな感じの風景を楽しんでいました。
退勤後ローカルなスーパーに入ったのですが、入り口すぐ右手にここでも青果が置いてありました。
ドリアンが置いてあったのでやっぱりこの辺の国では人を殴るためにフルーツが使われるんだろうと思います。ドラゴンフルーツとか手榴弾ぽいし。
つづく
写真1枚目 - ホテル付近の風景
写真2枚目 - 外から眺めたシュエダゴン・パゴダ
写真3枚目 - 永遠に狛犬の尻を見続ける青鬼
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